2023CL新潟 参戦レポート ~冷酷に燃える銀雪・パオジロコン~

緊張と、わくわくと、感涙と、ほんの少しの不安と。

たくさんの感情が湧いて。
それら全てを力にして。

勝利に貪欲に、気持ちはメラメラと燃やして。
プレイングは冷徹に、相手を凍りつかせるような鋭い一手を。

CL新潟、行ってきます。

(いちたんのツイートより引用)

 

世間的にゴールデンウィークといえば、家族で旅行行ったり、友達と飲みに行ったり、普段時間が無くてできないような自己研鑽に当てたりと、いろいろあるだろう。とはいっても、例えばゴールデンウィークの連休が1週間あったとしても、毎日旅行する訳でも無いし、毎日飲むわけでもなく、自己研鑽に至ってはやろうやろうで結局やらない人も多いだろう。1週間毎日同じことをし続けるという人間は稀であるし、変人の部類であろう。

 

しかしながら、今回の主人公・いちたんは変人の部類であった。これからお話するのは、ゴールデンウィークの連休1週間のほぼ全てをポケカに費やした、少年と中年の狭間のポケカプレイヤーのお話である。

 

時は遡り、2023年4月21日。CL当落の発表日である。私、いちたんは、9回連続で落選している。最後に出たのは2020年のCL愛知。実に3年ほどCLに出られなかったのである。9回も通らないと、もはやCL出れない芸はお手の物。むしろ記念すべき10回連続落選ではないかと思っていた。金曜日といえども仕事は終わらず残業し、疲れた体で車に乗りこみ、あまり期待はせずにメールを開いた。

 

「CL新潟 当選」

 

私は驚愕した。今度こそ、今度こそCLの舞台に立てるのか!?!?足掛け3年間、全く出れなかった大型大会のスタートラインに立てることに、非常に歓喜した。「このチャンスを逃すわけにはいかない。」そんな思いでいっぱいだった。

 

しかしながら、私は社会人に戻って3年目。社会人の3年目は研修で忙しいのと、時期的な忙しさはあいまって残業は増加。そのため、デッキの検討・構築・プレイングの練習の時間はどんどんなくなっていった。「このままじゃ、やばい。」そんな焦りだけが先行し、考えはまとまらずにいた。

 

少なくとも、土日はしっかり練習しよう。そう思った私は、第2回SHOW杯にエントリーした。私が自主大会に参加する時は、基本的には「楽しむ」というのが目的である。しかしながら、私には時間が無い。CL候補のデッキを試す場が必要であった。言い方は悪いが、SHOW杯を利用させてもらった。

 

数少ない実践練習の場・SHOW杯。握るデッキはCLに持っていく、あるいは敵として当たる可能性のあるデッキを選択したいと思った。それも出来れば、クレイバースト/スノーハザードで収録された新機軸のデッキを。そんなことを考えながらカードリストを眺めてたとき、ひとつのカードに可能性を感じた。それが今回握った「パオジアンex」である。

 

青天井の火力を持つポケモンは、一般的に回すのが簡単であると思う。高火力を押し付けることで、相手のポケモンを一撃で倒す。そのためのアプローチをすればいいだけなのだ。この「プレイングの簡単さ」が、CLで1日最大9戦やる上でも非常に重要だと思った。

 

しかしながら、単純なデッキは対策も容易である。パオジアンはデッキの性質上、セグレイブを盤面から消せば止まるし、サイド2-2交換以上のアドバンテージを与えないように非エクでワンパンされたらサイドが追いつかない。それを巻き返すカードが必要だ。私は、アローラロコンVSTARに着目した。

 

アローラロコンVSTARは、技「スノーミラージュ」によって、特性持ちの技のダメージを無効化できる。そして、環境にいるほとんどの非エクアタッカーは特性持ち。アローラロコンが非常に刺さる環境であると確信していた。

 

気づけばSHOW杯当日の深夜0時。普段ならありもののデッキで戦うが、今回は違う。試す場がここしかないのである。組むしかない。一夜漬けの刃で戦うことは承知で、深夜2時まで構築を組んだ。

 

上記リストで挑んだSHOW杯、結果は5勝3敗。まずまずの結果に、手応えを感じた。「これをブラッシュアップしていけば、全然戦える。」CLのデッキが決まった瞬間だった。

 

そこからは、デッキのブラッシュアップとプレイングの練習をひたすらした。GW前は仕事の関係で上手く時間は取れなかったが、取れないなりに「環境に出てきてるデッキにどう勝つか?」を言語化していくことに努めた。GW入った後は、時間のある限りデッキを回した。毎日、1枚ずつ変わっていくレシピ。毎日、上達するプレイング。けれども、ずっと自信がつくことは無かった。「最善の構築は何か?」「環境の動きはどうなっているのか?」シティの入賞構築やジムバトル等での相手のデッキを見ながら、どうケアするのか?構築に織り込むのか?検討に検討を重ねた。

 

そして、CL前日。レシピは完成した。

 

今回のデッキ「冷酷に燃える銀雪・パオジロコン」

 

正確にいえば、このレシピは完全じゃない。直前まで悩んだし、もしかしたら正解では無いのかもしれない。そんな不安もあったが、それでも、自分が考えうる中で、全カードに意味を持たせて採用できたと思う。

 

中でも特に悩んだのは、以下の点である。

 

アローラロコンラインの枚数

→SHOW杯の段階では2-2ではあったが、環境の変化によってアローラロコンが警戒され始めていたので、アローラロコンを押し付け続けるという考え方から、1度相手が動けないターンを作るという考え方にシフトし、1-1の採用に落ち着いた。

 

②ドロー+‪α‬のサポート:セイボリーor作業員

→頂への雪道が非常に刺さるので、作業員の採用も検討したが、サーナイトやロストなどベンチを並べるデッキに広く刺さるセイボリーの方が優先であると考え、採用した。

 

③メタカード:ピクニックバスケットorツールジャマー

→ツールジャマーはフワンテ、ピクニックバスケットはディンルーに対するメタである。最初はツールジャマーを採用していたが、ツールジャマーを採用したとて、剥がされたらどのみち勇気のお守り付きフワンテアローラロコンがワンパンされてしまうので、1度セグレイブの特性を動かすためのピクニックバスケットを採用し、動けたターンからアローラロコンで押し切るプランができるようにした(ついでにロストマインにも若干強くなった)

 

こうして、CL新潟を勝ち抜くための牙は鋭く整ったのである。

 

…でも現実は甘くなかった。結果としては5勝3敗でDay1の最後まで走りきることが出来なかった。

 

当日のマッチングは上記の通りである。

プレイングの甘さ、環境読みの甘さ、構築の甘さ。

僅かに完走まで行けなかった原因ががどこにあったのか、正直今でもよくわかっていない。分からないことがすごく苦しい。

 

特段周りが悪かったって印象の対戦はひとつもなかった。プレイングミスも多少はあったが、負けた試合に目立ったものは無いと思う。でも、負けるのには何が原因がある。それが何か分からないうちは、最後まで倒れず戦い抜くことが出来ない。己はまだまだ弱い、まだ壁は厚いということを非常に実感した。

 

しかしながら、自分の成長も感じたCLであった。2敗した後の3連勝の粘り、相手のデッキに対する理解は3年前のCLよりも向上しているというのは、3年前の最高戦績2勝3敗を大きく更新したところが証明してくれた。

 

今シーズンに残る公式大会は、シティS4とJCS。

世界に行くためには、JCSで結果を出すしかない。

 

もっと強くなりたい。

 

その気持ちを胸に、リスタートを切ったCLだった。